『コウノドリ』(TBS系)、『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)、『民衆の敵~世の中おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)と今期はメッセージ性の強いドラマが豊作です。そして物語に込められたメッセージは、かなりの濃度で視聴者の胸に届いているようです。
1『コウノドリ』
出典;http://realsound.jp/movie/2017/11/post-129660.html
『コウノドリ』で描かれたのは、佐野彩加(高橋メアリージュン)の産後のうつ病。
その背景として、産休・育休中の女性の苦悩が赤裸々に描かれていました。
産休前に彩加が懸命に取り組んできたプロジェクトは、全面的に見直しになり、彩加の同期が新しいリーダーに決まってしまいます。
保育園がなかなか見つからずに焦る中で、後輩からの
「安心して赤ちゃんを育ててください」
というセリフは、あなたは育児だけやればいい…と社会に見放されたような感覚に陥るキーワードでした。
現実、このような場面に遭遇したことのあるお母さんはいることでしょう。
「待機児童問題」や「ワンオペ育児」など、実際に経験しないとその大変さがわからないものです。
そんな事象についてドラマを通して疑似体験することで、問題の深刻さが心にスッと響くように思うのです。
2 『民衆の敵~世の中おかしくないですか!?~』
出典;http://realsound.jp/movie/2017/11/post-12966
仕事と育児の問題について取り上げたのは『民衆の敵』も同じです。
佐藤智子(篠原涼子)の選挙活動を支援していたママ友たちは、それぞれ出産前はバリバリ仕事をこなしていたキャリアウーマン。
なかでも平田和美(石田ゆり子)は、出産を機に政治記者職から異動、いわゆる「マタハラ(マタニティハラスメント)」にあってしまった一人でした。
結局、和美は上司に直談判して記者職に復帰するのですが、「マタハラ」について大々的に取り上げるわけにはいきません。
“ママになったら当然のこと”といったスタンスでさらりと描かれていたのが妙にリアルだったのでした。
3『先に生まれただけの僕』
出典;http://realsound.jp/movie/2017/11/post-129660.html
若者から親世代までをターゲットとしているのが『先に生まれただけの僕』。
初回で取り上げた「奨学金問題」は、「奨学金は借金だ」という現実についてシビアに訴えかけていました。
鳴海校長(櫻井翔)の言葉に震えるほどの恐怖を感じたし、放送後には、奨学金利用者などを中心にたくさんの声が上がるなど大反響となったのです。
きっと、同時間帯で「奨学金問題」についてのドキュメンタリー番組を放送しても、こうは行かなかったのでは…
嵐・櫻井翔主演の学園ドラマの中で描かれたからこそ、そのメッセージはダイレクトに視聴者へと届いたのでしょう。
<まとめ>
現在のドラマには、クスッと笑える場面がありの物語りの中で、日本で起きている社会問題について鋭く切り込んでいかなけばいけません。
それは、若い人がドラマを観なくなっているからです。
“視聴者層の変化”があるのです。
視聴者の高齢化が進む中で、突飛な内容で冒険するというよりも、着実に人の心に響く、良心に訴えるようなドラマが主流となったように思います。
ふだんあまりニュースを見ない人が、ドラマを通して現実を知るというケースも往々にしてあり、これらのトレンドは確かに、社会的に意味のあることです。
だから今秋のドラマは社会派が重なったのでしょう。
ただ3作品のドラマの内容から、日本って「変わってないじゃん!」と思うのは、私だけでしょうか…